論文タイトル: 犬の変性脊髄症関連c.118G>A (p.E40K) SOD1遺伝子変異の検出法: 通常PCR法とリアルタイムPCR法による分析および日本のペンブロークウェルシュコーギー品種における高い有病率 著者: Kobatake, Y., Sakai, H., Uchida, K., & Itahashi, M. 出版年: 2017 掲載誌: Journal of Veterinary Medical Science, 79(4), 670-677.
要約(日本語):
本研究では、犬の変性脊髄症(DM)と関連するSOD1遺伝子のc.118G>A (p.E40K)変異を検出するための通常PCR法とリアルタイムPCR法の2つの検査方法を開発し、日本のペンブロークウェルシュコーギー品種におけるこの変異の有病率を調査しています。
<aside> 💡 研究者たちは、118ペンブロークウェルシュコーギーと他の15の犬種のDNAサンプルを用いて、通常PCR法とリアルタイムPCR法を比較し、変異の検出の精度や再現性を評価しました。その結果、両方の方法が高い精度と再現性を示し、変異の検出に適していることが確認されました。
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また、ペンブロークウェルシュコーギーにおいて、変異遺伝子を2つ持つ犬(ホモ接合体)は約14.9%、変異遺伝子を1つ持つ犬(ヘテロ接合体)は約45.6%でした。これらの結果は、日本のペンブロークウェルシュコーギーにおいて、DM関連のSOD1遺伝子変異の有病率が高いことを示しています。
本研究は、犬のDMと関連するSOD1遺伝子変異の検出方法の開発と、日本のペンブロークウェルシュコーギー品種における高い有病率に関する重要な情報を提供しており、繁殖計画や遺伝カウンセリングに役立てることができます。また、DMの発症リスクを低減するための遺伝子検査や遺伝的カウンセリングの開発が、犬の福祉向上に寄与するでしょう。さらに、本研究で開発された検査方法は、他の犬種におけるDM関連のSOD1遺伝子変異の検出にも適用可能であり、犬の遺伝病の診断や研究において広く活用されることが期待されます。
今後、犬のDMに関する遺伝子検査の普及が進めば、犬種ごとの遺伝子変異の有病率や疾患の進行に関するさらなる知見が得られることが期待されます。これにより、犬の健康管理や適切な繁殖計画の策定が可能となり、犬の福祉の向上につながるでしょう。